一般社団法人
日本細胞生物学会Japan Society for Cell Biology

新着細胞生物学用語集(%E5%85%8D%E7%96%AB%E9%96%A2%E9%80%A3)

M細胞、GP2
【Microfold cell (M cell)、Glycoprotein2 (GP2) 】
大野 博司
理化学研究所・横浜研究所 免疫アレルギー科学総合研究センター(RCAI)
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Microfold cell (M cell)はパイエル板を始めとする粘膜関連リンパ組織を覆う特殊な上皮層に点在する抗原取り込み細胞である。M細胞は周囲の腸管吸収上皮細胞とは形状が異なり、微絨毛が短く疎で、基底膜側は免疫細胞を抱え込むための陥凹した空間を持つ(図1)。このような特徴により粘膜組織に侵入した外来抗原を免疫細胞へと効率よく受け渡すことができる。
Glycoprotein2(以下GP2)はGPI-アンカー型タンパク質の一つで、膵臓腺房細胞に限局して発現する機能未知の分子として同定された(文献1)。その後の研究からマウス、ヒトのM細胞の頂端面細胞膜に発現することが見出され、1型線毛の先端に表出するFimHタンパク質を認識することが明らかとなった(文献2)。M細胞においてGP2は1型線毛を持つ細菌を選択して認識し、細胞内へと取り込むための受容体であり、粘膜免疫にける免疫監視において重要な役割を担う分子である(図1)。
参考文献
文献1. Fukuoka S, et al. Proc Natl Acad Sci U S A. 1992 Feb 15
89(4):1189-93.

文献2. Hase K, et al. Nature. 2009 Nov 12
462(7270):226-30.

理化学研究所、免疫系構築研究チーム

抗体情報:販売元MBL

Anti-GP2 / Glycoprotein2Anti-GP2 / Glycoprotein2 (Mouse)

FCMR/FAIM3/TOSO
【FCMR/FAIM3/TOSO 】
大野 博司
理化学研究所・横浜研究所 免疫アレルギー科学総合研究センター(RCAI)
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FCMR/FAIM3/TOSOはFas仲介型のアポトーシスを阻害する因子として発見された分子である。その後、他のFc受容体とのアミノ酸配列の相同性から、IgMと結合する受容体として同定された(1)。PreB細胞以降のB細胞の成熟過程で発現していること(参考文献1,  図1)や、慢性リンパ球性白血病での発現量の増加(参考文献2)その発現がB細胞のシグナリングによって調節されていること(参考文献3)などから、B細胞の活性化や、シグナリングに影響を与えていることが予測される。
参考文献
(1)Shima, et al. Int. Immunol. (2010)

(2)Proto-Siqueira, et al. Blood (2008)

(3) Pallasch, et al. Blood (2008)
抗体

CD分子
【Cluster of differentiation (CD) molecules】
大野 博司
理化学研究所・横浜研究所 免疫アレルギー科学総合研究センター(RCAI)
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いくつかのモノクローナル抗体が、細胞表面の同じ抗原を認識することがあるので、混乱を避ける為にそうした抗体群を、同じ番号・記号で国際的に統一的に分類したものCD分類と呼ぶ。転じてモノクローナル抗体群が認識する同一の細胞表面抗原の名称にも用いられ、CD分子 (CD抗原)と呼称される。数年に一度開催される、human cell differentiation molecules (HCDM)のワークショップにより番号が決定され、2011年9月現在、CD1-CD350の350種類が決定されている。例えば、CD名CD1aは、CD1A抗原と記述され、CD1A抗原を認識するモノクローナル抗体のクローン名はLeu-6、O10、HI149の三種類である。いずれもHCDMのホームページに詳しい。(HCDM)
各モノクローナル抗体の供給先 (9社)も、CD分類別・モノクロナール抗体別に丁寧に記載され、リンクが貼られているので参照されたい。

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