一般社団法人
日本細胞生物学会Japan Society for Cell Biology

Dicerを用いたsiRNAの作製

author高島 皓平、中井 和香、中山 和久
所属京都大学薬学研究科生体情報制御学分野
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Home Pagewww.pharm.kyoto-u.ac.jp/physchem/
Keywordノックダウン、siRNA、Dicer
Published2012-06-07Last Update2012-06-07
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概要・原理

siRNAを用いてノックダウンを行う場合、特定の配列のオリゴヌクレオチドを用いることが多い。配列によっては強力なノックダウン効果が期待できるものの、配列が適切でない場合、効果的にノックダウンすることができない。ここでは、リコンビナントのDicerを用いてsiRNAを作製する方法を紹介する。本法は、500-1000bp程度の配列をターゲットとして二本鎖RNAを合成し、それをDicerで切断することでsiRNAを作製するものである。様々な配列のsiRNAの混合物となるため、ほぼ確実に適切な配列が含まれ、ノックダウンが失敗することが少ないことが利点である。また、オリゴヌクレオチドの場合には、同じ配列のsiRNAを大量に用いるため、無視できないオフターゲット効果が出ることが少なくない。一方、本法では、同じ配列のsiRNAは少量ずつしか含まれないため、強いオフターゲット効果は出にくいと考えられる。

装置・器具・試薬

  • BLOCK-iT RNAi TOPO Transcription Kit (Invitrogen)
    PowerCut Dicer (ThermoScientific)
    PureLink miRNA Isolation Kit (Invitrogen)
    エタノール
    b-メルカプトエタノール

詳細  *それぞれの写真をクリックすると拡大します。

    • ノックダウンに用いる配列(500-1000bp程度)を決定する。BLASTなどを用いて、オフターゲット効果が出にくいと考えられる領域を選ぶ。
    • 選択した領域を含む配列をクローニングする。
    • BLOCK-iT RNAi TOPO Transcription Kit (Invitrogen)を用いて、二本鎖RNAを作製・精製する。
    • PowerCut Dicer(ThermoScientific)の説明書に従い、精製した二本鎖RNAを切断する。スケールは調節可能であると思われる。
    • 切れ残った長鎖の二本鎖RNAは免疫応答を惹起するため、除去する必要がある。PureLink miRNA Isolation Kit(Invitrogen)など、短いRNAを精製可能なRNA精製キットを用いて、切断されたRNAのみを精製し、濃度を決定する。
    • Lipofectamine2000(Invitrogen)などのトランスフェクション試薬を用いて、細胞にトランスフェクションする。

工夫とコツ

  • オリゴヌクレオチドでノックダウンする場合の様に、点変異を入れたコンストラクトで回復実験を行うことは、原理上不可能である。しかし、ターゲット配列を5'あるいは3'非翻訳領域に設定しておけば、回復実験は可能である。
  • Dicerの反応スケールが小さい場合、その後の精製でなぜか夾雑物が多く入るようであった。Dicer反応後に、RNase-free waterでスケールアップしてから精製すると、改善できた。
  • 当研究室では、HeLa細胞のノックダウンの場合、6wellプレートで250-1000ng程度のsiRNAを用いている。トランスフェクション時の細胞の密度を60-70%程度にすると、トランスフェクションの効率と細胞毒性の回避が両立できる。トランスフェクションの翌日に細胞をまき直し、トランスフェクション後72時間の時点で実験を行うことが多い。効果が不十分な場合、まき直した次の日に2回目のトランスフェクションを行い、その翌日にさらにまき直して、1回目のトランスフェクション後、通算120時間後に実験する。

参考文献

  • BLOCK-iT RNAi TOPO Transcription Kit 取扱説明書
    PowerCut Dicer 取扱説明書
    PureLink miRNA Isolation Kit 取扱説明書