Rhoファミリー関連
太田 安隆北里大学理学部生物科学科
FilGAPは、低分子量GTP結合タンパク質 Racを特異的に不活化する因子GAP (GTPase-Activating Protein)の一つで、アクチン繊維架橋因子フィラミンに結合する。FilGAPを欠失した細胞は、細胞周囲に葉状仮足をランダムに進展させることからFilGPAは葉状仮足の形成制御に関与していると考えられる。FilGAPは、低分子量GTP結合タンパク質Rhoの標的タンパク質であるROCKキナーゼでリン酸化されると活性化される。細胞運動においては、Racが細胞の前部で活性化され葉状仮足を進展し、Rhoはミオシンを活性化し、収縮を促すことで細胞尾部を決定している。この細胞前部と尾部でのRacとRhoの特異的な活性化は、両者が互いに阻害し合っているからだと考えられており、FilGAPはRhoの下流でRacを不活化することで、RacとRhoの棲み分けに関与していると考えられる(図1)。FilGAPは、構造の似た他のRacGAPとファミリーを形成しており,メンバーとしてARHGAP22とARHGAP25が知られている。FilGAPの研究は北里大学理学部生体機能学講座のホームページに詳しく紹介されている。
参考文献
参考文献 Nat Cell Biol. 8:803-814, 2006 (PMID: 16862148)