水島 昇東京大学大学院医学系研究科
このたび、井垣 達吏前会長の後任として、日本細胞生物学会の第48代会長を拝命いたしました。私は1997年に入会し、同年の横浜大会から参加させていただいております。当時は大会が夏から秋にかけて開催されていました。今ほど温暖化が進んでいなかったかもしれませんが、東大の本郷キャンパスで、エアコンも効かない中、汗をかきながらポスター会場をまわった記憶があります(1999年)。2001年の大隅良典先生の岐阜大会から(当時、私は大隅研のポスドクでした)、今と同じように5~6月に開催するのが定着してきました。秋に開催される日本生化学会や日本分子生物学会のような大きな学会との差別化する点でも意義があったと思います。その後、2005年大会(田中啓二大会長)の大会幹事、2006~2008年の学会庶務幹事(中野明彦会長)、2008年大会(竹縄忠臣大会長)のプログラム委員長などを担当してまいりました。学会の運営委員や理事も継続的に努めてまいりましたが、最近は執行部から少し離れておりました。そのため、会長としての役目を果たせるか不安もありますが、すでに心強い幹事や理事の先生方が選出されていますので、みなさまのご助力をいただきながら微力を尽くしてまいりたい思います。
日本細胞生物学会は、「お互いの顔が見える」規模でありながら、細胞生物学全域をカバーする活発な学会です。会員数はこの10年余り、1100~1200人程度で推移しています。2005年には1600人を超えていたため、当時と比べると減少していますが、安定していると言えると思います。そのなかで、学生会員は少しずつ増加している傾向にあります。これは喜ばしいことです。2015年に貝淵弘三元会長が導入された、学生会員の年会費初年度無料および大会参加費無料の制度が効果的だったと思われます。大会に参加すれば、ほとんどの人が顔見知り(少なくともPIは)というちょうどよい規模感であり、そこに毎年新しい学生が加わることで、学会に新たな活力が注入されていると感じます。また、大会の懇親会に参加していつも感じることですが、細胞生物学会は懇親会の参加率がかなり高いと思います。特に、若手の方が多く参加してくれているのは嬉しいことだと思います。大会に限らず、ジャーナルやその他の支援を含めて、会員のみなさまが本学会を有効に使って、各自の発展につなげていただければ願っております。それこそが、本学会の最も重要な使命だと考えております。
学会の経営面も良好といってよく、正味財産は2015年頃からずっと右肩上がりです。これも貝淵元会長による財政改革をはじめとして、歴代の会長、年会長の先生方、そして事務局のご尽力の賜物です。また、昨年は森和俊先生より500万円という大型のご寄付も頂戴いたしました。森先生には改めて感謝申し上げます(https://www.jscb.gr.jp/news/2023/12/25/post-6053/)。
このように、学会はある意味では安定期にあるとも言えますが、それに甘んじのんびりするわけにはいきません。こういうときにこそできる新しい取り組みを、向こう2年間で進めていきたいと考えております。具体化してきましたら、改めてご報告させていただきます。
日本細胞生物学会の会員全員が楽しく自信を持って研究できるよう、そして日本と世界の細胞生物学の研究と教育が一層発展するよう努力してまいりたいと思います。