井垣 達吏京都大学大学院生命科学研究科
本年6月の社員総会をもちまして日本細胞生物学会会長を退任し、水島昇新会長に引き継ぎをいたしました。2年間の任期をなんとか無事に務めることができましたこと、支えてくださった執行部の皆様や事務局の方々、そして会員の皆様に心より御礼申し上げます。
コロナ禍の難局を乗り越えられた米村重信前会長からバトンを受け継いだこの2年間は、学会の存在意義や大会の重要性を改めて再認識する期間ともなりました。大会が対面開催に戻り、久しぶりの顔を合わせての議論や交流に今まで以上の活気が溢れ、「お互いの顔が見える」細胞生物学会の最も大切なものが戻ってきたと感じました。2023年奈良大会(吉森保大会長)では細胞生物若手の会主催のシンポジウム枠を初めて導入していただき、これは2024年つくば大会(岡田康志大会長)にも引き継がれ、本学会の将来を担う若手の会のプレゼンスとレベルの高さが示されました。つくば大会ではウェルカムレセプションの開催や若手最優秀発表賞選考会のセミプレナリー化と英語化、ポスター賞の導入など新たな試みが成功し、今後の大会にも引き継がれていくものと期待されます。一方、来年2025年には、日本発生生物学会との合同大会の開催を7年ぶりに実現できる運びとなり、現在その準備を進めているところです。合同大会については様々な議論があるかと思いますが、学会の存続と発展には進化し続けることが不可欠であると考えます。学会の垣根を越えたサイエンスの議論を通じて、本学会の将来を模索する機会となることを願っております。
また、学会ホームページのリニューアルを12年ぶりに実施しました。新たにオンライン会員情報管理システムを導入し、会員ページで年会費の納入状況の確認や会費のクレジット払いを可能にするとともに、オンラインで学会入会手続きを行えるようにしました。これに伴い、従来の年会費自動引き落としシステムは廃止させていただきました。さらに、「顔が見える」学会を体現するため、学会役員の顔写真を掲載させていただきました。ホームページのリニューアルは予想以上に大変な作業で、執行部や事務局の皆様には大変お世話になりました。特に、執行部の小田裕香子さんと学会事務局の金光朋子さんの多大なるご尽力なしにはとても実現できなかったこと、この場をお借りして改めて感謝申し上げます。
学会誌CSFにおいては、吉田秀郎前編集長の4年間にわたるご尽力に加えて、2023年1月から松田道行編集長による様々な工夫や新たな試みが始まりました。その結果、CSFに掲載される論文の質が明らかに向上してきたということが編集委員会や理事会で確認されました。一時的なインパクトファクターの変動などよりもはるかに重要な変化が今起こりつつあるということであり、今後より一層、良質な論文のCSFへの投稿をよろしくお願いいたします。
2年間の任期はあっという間で、ほとんど何もできなかったというのが正直な感想です。しかし、2年間細胞生物学会の現在と将来のことを自分なりに考え続けながら、学会運営に携わらせていただきました。執行部や理事会、編集委員会、会員の皆様、そして事務の方々から様々な貴重なご意見やご指導をいただき、本当に感謝しております。これからは一学会員として、引き続き同じ気持ちで学会に少しでも貢献できるよう努めていきたいと考えております。
最後になりましたが、細胞生物学会と会員の皆様の益々のご発展を祈念して、退任の挨拶とさせていただきます。