去る2024年12月14-18日にアメリカはサンディエゴで開催された、ASCB(アメリカ細胞生物学会)と、EMBO(欧州分子生物学機構)の合同年会CELL BIO 24に参加しました。日本細胞生物学会の英文学会誌・Cell Structure and Function (CSF)の宣伝もしてきたので、報告します。
CSFは現在、科研費の支援を受けて国際化を推進しています。国際化とは、CSFの論文を海外の人に読んでもらうこと+世界中からCSFに投稿してもらうこと。そのためにはまず、存在を知ってもらうこと!ということで、今年のつくば年会では、初の試みとして、書籍展示の枠でブースを出してみました(図1)。CSFの認知度があがったんじゃない?という自画自賛のもとに、私の参加が決まっていたCELL BIO 24でも、同じようにブースを出してみよう!という運びになりました。
(図1)
10月に、HPのExhibitorをクリックして、最小の10フィートx 10フィートを申し込み、支払いを済ませます。すると11月に、会場設営会社から備品注文のメールが来ました。ネット通販よろしくクリックするだけで終了です。現地では、Exhibitor専用の名札をもらい、学会前日に会場に入ることができます。指定のブース835につくと、注文通りにセットされており(図2)、持ってきたものを飾って終了です(図3)。あまりに順調で、何か罠があるのではないか、と疑い深い私は却って心配になりました。
![](https://www.jscb.gr.jp/app/uploads/2024/12/Fig2.jpg)
![](https://www.jscb.gr.jp/app/uploads/2024/12/Fig3.jpg)
(図2) (図3)
CELL BIO 24は規模や雰囲気でいうと、日本の細胞生物学会というよりは、分生(日本分子生物学会)に似ています。会期は5日間ですが、ポスター会場と企業展示は同じ会場で、中3日だけです。ブースにいた時間は短いですが、はるか昔の学祭の、わくわくした記憶が蘇ります。お隣のブース、Atlas Antibodiesの、おそらく同年代のおばちゃんが、「さっき、こんな人が来てたで」と報告してくれるのも助かりました。
さて、肝心の展示はというと、ラボの技術員さんが書道と切り絵が得意、ということで、絨毯やテーブルの布を黒にして、「和」でいくことにしてみました。これが奏功したのか、日本に行ったことがある・次は日本でポスドクしたい、など、日本びいきが多数現れました。最終日には、お習字は自由に持って行って、と書いたところ、全て無くなりました。つくばでも配った吉田前編集長時代のクリアファイルも、ついに在庫がなくなりました。また、ラボで余っていたブルックス珈琲にQRコード(CSFの英語HPアドレス)のシールを貼っておいておくと、これもあっという間に無くなりました(図4)。48巻の表紙のFucciの赤緑が、期せずしてクリスマシィ。
(図4)
以下、思いついたまま書き出してみます。
● ポスターの顔写真や研究関連写真を見て、この人知っているという人は結構いた。
● 投稿費用の割引を求めるインド人も来た。
● NPOや会社の人が、自社製品をCSF編集メンバーに宣伝したいといってきた。
Donor Network West, Tubula Sapience, TdB Labs, Cell Guidance Systems, など。
● WileyやTaylorなどの出版系も来た。中国からの論文が多いのは同じようだ。
● MoBCなどではMeet the scientific editorという時間を設けて相談にのっている。
● MoBCは、ASCB会員だと建設的な意見をもらえる guaranteed peer reviewを始めたら会員からの投稿が増えたとのこと。
● MoBC・JCBの編集長とNIHの研究費の審査関係者が登壇者のワークショップがあり、出版について質疑応答をしていた。基本的にはAI利用や、Preprintは良いことだと思っているようだ。
● XやBlueSkyのアドレスや、論文QRをポスターやプレゼンで示す人が多いが、SNSはそれほど盛んではないようだ。他の媒体がある?
● 分生とASCB/EMBOの合同シンポが毎年開催されている。かれこれ10年くらい続いているそう。
● N社、E社、H社、Y社の大手日本顕微鏡メーカー以外にも、ナカライ、東海ヒット、アステックなどの日本企業が出展していた。
● 多くの参加者は興味がなくてもブースを訪問し、無料のものを持っていく。
● 来日希望者のために、来年の名古屋での合同年会の案内を作って置いておけばよかった。
ちなみに出展にかかった費用は、約68万円(NPO割引あり)でした。これが高いか安いか・・・は今後、外国からの投稿数にかかっています。
多くの会員の先生方に立ち寄ってお声掛け頂き、心強く感じました。この場を借りて感謝申し上げます。自由度高く任せてくれた松田編集長、事務処理をしてくれた永盛さん、執筆の機会を与えてくれた青木さん・水島会長、そして何よりも準備のすべてを楽しんでやってくれた中山さん・水落さんの2人の技術員にも感謝いたします。
2024年12月26日
金沢医科大学 清川悦子(CSF副編集長)