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日本細胞生物学の父、石川春律先生

2008.11.25

臼倉 治郎名古屋大学エコトピア科学研究所

  群馬大学名誉教授で本学会長も経験された石川春律(いしかわはるのり)先生は平成20年9月23日に永眠されました(享年73歳)。慎んでご冥福をお祈りいたします。平均寿命に満たないご逝去は残念でなりませんが、生命の不可思議を自ら示されたのかもしれません。初めて石川先生にお会いしたのは私がまだ横浜市大の学部4年生の頃と思います。研究論文を見てもらうため、私の指導教官であった江口教授とともに当時の東京大学医学部解剖学教室の山田英智教授の研究室を訪問した時でした。その時、丁度居合わせた石川先生と挨拶を交わしただけのように覚えております。その後、長きにわたりお付き合いいただくとは思ってもみませんでした。3年後、形態学を本格的に学ぶため東京大学大学院医学研究科に進学して山田教授のもとで研究をすることになり、当時山田先生が主宰する解剖学第1講座の助教授をしていた石川先生には大変お世話になりました。研究分野は異なりましたが、実験法や組織学、細胞生物学を教えていただきました。したがって、それ以前の若い石川先生については良く知りませんが、わかる範囲で紹介し、先生の偉業を偲びたいと思います。

 石川先生は鹿児島県出水市のご出身で九州大学医学部をご卒業になられ、整形外科に入局したと聞いております。その後、解剖学教室に移り筋肉の微細構造をはじめ基礎医学を学び、ペンシルベニア大学のPeachy教授のもとに留学し、そこで「HMM修飾によるアクチン線維の検出と方向性の決定」という歴史に残る研究をいたしました。その頃に同じペンシルベニア大学の教授であった井上信也先生や佐藤英美先生(故人)と親交を深めておられたようです。九州大学解剖学の山田教授が東大に配置替えになったため、米国から東京大学に赴任され、我々の面倒を見ていただく機会が訪れたというわけです。石川先生は大変温厚な人柄で我々学生に対して面倒みが良く、何事も丁寧に教えてくれるので、学部学生まで頻繁に研究室に出入りしておりました。その中には有名な故月田承一郎先生の学生時代のお姿もありました。時折九州時代の患者さんが訪ねてこられるなど先生の人柄の良さを思わせることもたびたびありました。

 当時はまだ日本では細胞生物学が定着しておらず(もちろん本学会もできておりませんでした)、細胞生物学研究の必要性を強く主張していたことを覚えております。その後、既に故人となられた多くの先生と共に本学会の設立と拡大に貢献されたことは皆様の知るところと思います。

 学問的には細胞骨格や細胞運動の概念を最初に築いた研究者で日本における細胞生物学の父であると考えております。「HMM修飾によるアクチン線維の検出」J.Cell Biol.43 312-328 1969の論文は細胞生物学史上極めて重要な研究であります。現在でもアクチン線維の方向性を調べるにはこの方法しかなく、この方法により創出される矢尻構造の矢尻端、反矢尻端と言う言葉をもって方向性を表現するほどです。この研究により非筋細胞にもアクチン線維が多数存在することが分かり、アクチン系細胞運動が確立され、骨格筋はむしろ細胞骨格の特殊な形と言う概念を作るきっかけとなった研究です。極めて高く評価されるべき研究であります。膜の裏打ち構造という概念も石川先生により築かれたものです。しかし、最近に至るまでこの裏打ち構造を高分解能三次元像として観察するのはできませんでしたが、細胞運動のみならず生命現象全般における膜裏打ち構造の重要さについて30年ほど前から語っておられました。私は視覚を網膜視細胞の構造から研究しており、石川先生とは研究分野が異なっておりましたが、膜構造の新しい観察法を開発するため、視覚研究から少し離れ、膜の裏打ち観察法の開発に力を注ぎ、ようやく膜裏打ちの空間構造を捉えられるようになりました。細胞膜裏打ち構造の美しさと予想される機能を目の前にして、石川先生の先見性をあらためて感じました。特に膜裏打ち構造を形成するアクチン線維結合タンパク質の空間特異性については一度見ていただき、コメントをもらおうと考えていた矢先でした。一番見ていただきたかった先生を失ったことの無念さがこみ上げてまいります。

  石川先生は形態学、組織学の十分な知識と理解力を備えた細胞生物学者でした。現在では細胞生物学、生化学、分子生物学の境界もなくなり、形態を基軸としない論文も多数見受けられます。先生のご逝去は時代の移ろい速さをも感じさせます。その他、東京大学時代の先生のご苦労や思い出など様々なことが頭をかすめますが、このあたりで筆をおきます。あらためてご冥福をお祈り申し上げます。

合掌

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