主催
日本細胞生物学会 男女共同参画推進・若手研究者育成委員会、日本発生生物学会 多様性推進委員会
共催
細胞生物若手の会、発生生物若手の会
日時
2025年7月18日(金) 12:20-13:20
場所
ウインクあいち
演者
前田日向子(徳島大学、発生生物若手の会)、井口晶絢(アステラス製薬株式会社)、井上大輝(株式会社ソミックトランスフォーメーション)
司会
谷口俊介(筑波大学)
進行
島袋航弥(東京大学、細胞生物若手の会)
昨年度までとは一転し、今年度は若手の会の視点から「博士修了後、次はどこへ?」をテーマに、博士課程修了後の多様なキャリアパスについて考える機会を設けました。アカデミア、民間企業、そしてベンチャー企業といった三者三様の異なる道を歩まれている3名の講師をお招きし、それぞれの進路選択の背景や決断に至った経緯、就職活動時の経験についてご講演いただいた後、パネルディスカッションを行いました。
最初の講演では、民間企業を経て現在アカデミアで研究されている前田先生に、キャリア形成と現職に至るまでの経緯についてお話しいただきました。博士号取得後の研究へのモチベーションや不安、葛藤など、当時のリアルな心情を率直に語っていただきました。一度研究から離れた環境で改めて「自分にとって研究とは何か」を見つめ直し、再びアカデミアに戻るという決断に至った過程が印象的でした。続いて、製薬企業で活躍されている井口先生に、民間企業への就職、研究活動のやりがい、そしてアカデミアとの違いについてお話しいただきました。就職活動の進め方や現在の仕事内容など、実践的な情報を共有していただきました。博士課程で培った力が、企業研究においても大きな強みとなり、グローバルに通用する力であることが強調されました。最後に、ベンチャー企業で活躍されている井上先生に、その道を選ばれた経緯や現在の仕事内容についてお話いただきました。研究者としての専門性を武器に、新たな価値を創出し、社会に貢献することの楽しさについて語っていただきました。博士課程在籍中に独学で学び始めた機械学習が、現在のキャリアにつながったというエピソードも印象的でした。
後半のパネルディスカッションでは、「本音相談会」と題し、聴衆から寄せられた質問に対し、3名の講師にその場でお答えいただきました。「どのようにして進路を決断したか」「不安や迷いをどう乗り越えたか」「博士の強みとは何か」といったテーマが掘り下げられ、活発な議論が交わされました。
本企画では、Googleフォームおよび紙媒体の両方でアンケートを実施し、52件の回答が集まりました。そのうち84.9%の参加者が「非常に有益」「有益」と回答され、高い評価を得ました。参加者からは、「キャリアの多様性や自由さを知れた」「普段は聞けないような話を具体的に聞け進路の選択肢が広がった」といった意見が多く寄せられました。また、若手による若手のための企画で素晴らしかったとの声も多く、学生や若手研究者が将来のキャリアを具体的に考えるきっかけを提供できたと考えています。
本委員会および日本発生生物学会・多様性推進委員会の運営体制のもと、若手の会の皆さんが企画を力強く担ってくださったことで、本企画は多くの参加者にとって意義あるものとなりました。その貢献に委員会として感謝いたします。