吉田 秀郎兵庫県立大学大学院生命理学研究科生体物質化学II講座
細胞質スプライシングは、従来知られているmRNAスプライシングとは全く異なる新規のmRNAスプライシング機構である。従来型のスプライシングは核で起こり、スプライソソームが反応を触媒する。イントロンとエクソンの境界にはコンセンサス配列(GU-AGまたはAU-AC配列)が存在し、まず5’側が切断されてラリアット構造を形成した後、3’側が切断される。しかしながら、細胞質スプライシングはスプライソソームには依存せず、小胞体ストレスセンサーであるIRE1によって切断され、未知のRNA ligaseによって結合される。エクソンとイントロンの境界にGU-AGまたはAU-AC配列は存在せず、その代わり特徴的なステム−ループ構造が存在している。細胞質スプライシングはIRE1が存在する小胞体膜上で起こり、核内では起こらないと考えられている。現在のところ、細胞質スプライシングの基質mRNAは動物のXBP1と酵母のHAC1だけである(いずれも小胞体ストレス応答を制御する転写因子)。
参考文献
Cell (2001) 107, 103-114
Cell (2001) 107, 881-891