膜受容体
目加田 英輔大阪大学微生物病研究所細胞機能分野
HB-EGFはEGFファミリーに属するヘパリン結合性の増殖因子である。この増殖因子は他のEGFファミリーと同様に、はじめ膜型蛋白質(proHB-EGF)として合成される。ProHB-EGFは細胞接着を介した細胞間情報伝達(ジャクスタクライン)に機能する一方、ジフテリア毒素受容体としても機能する。ProHB-EGFは細胞表面において種々の刺激に伴って酵素的切断を受け(エクトドメイン・シェディング)、その分泌型(sHB-EGF)が細胞外に放出される。sHB-EGFはEGF受容体(EGFR/ErbB1)あるいはErbB4に結合し、細胞増殖・運動など種々のシグナルを伝達する。シェディングに伴ってsHB-EGFとともに生成されるC末断片(HB-EGF-CTF)も細胞内へ移行して種々の遺伝子発現に関与する。HB-EGFノックアウトマウスなど種々の変異マウスの解析から、HB-EGFは心臓の発生や機能維持など様々な生理的過程、あるいは発癌などの様々な病理的過程で重要な働きをしていることが明らかとなっている。
参考文献
UCSD-Nature Molecule Pages doi: 10.1038/mp.a002932.01, 2008; 蛋白質核酸酵素 54, 1722-1727, 2009