オルガネラ・細胞内輸送関連
中野 明彦東京大学 大学院理学系研究科 生物科学専攻
小胞体はendoplasmic reticulum(細胞質中に広がる網状の構造の意)の日本語訳であり,ずいぶん本来の意味とニュアンスが異なっている。私見ではあるが,これはミクロソーム(microsomes)の直訳が転用され,定着したのではないかと思っている。ミクロソームは,細胞破砕液(homogenate)を分画遠心し,超遠心(100,000 x g, 1 h以上)で初めて沈殿する膜分画のことである。細かく破砕されて再び閉じた小胞体膜が最も多く含まれるが,ゴルジ体など他の細胞小器官も多く含まれるので,無論同義ではない。