免疫染色関連
後藤 聡
慶應義塾大学医学部生理学教室
概要・原理
ある特定のオルガネラに局在するタンパク質や脂質組成を調べるための、オルガネラ単離法。オルガネラの精製には、密度勾配などを使って分離していく方法があるが、ここではオルガネラに特異的な抗体を用いてimmunoseparationする方法を紹介する。Starting materialが少ない時など、有用である。(ref. PNAS 102, 13467-13472 (2005)) またprotein G sepharoseなどを用いるより、磁石単体であるDynabeadsを用いる方が、バックグラウンドの軽減につながるのでおすすめである。
装置・器具・試薬
試薬
クロスリンカーDMP
DMP (Dimethyl pimelimidate•2 HCl) Thermo Product # 21666
詳細
- <準備するもの> 集めたいオルガネラの細胞質側からアクセスできる一次抗体
二次抗体結合Dynabeads (Dynal社)
適当なホモジナイズバッファー
50 mM Tris-Hcl, 150 mM KCl, 5 mM MgCl2 with protease inhibitor pH7.5 ダウンス型(或いはポッター型)ホモジナイザー - <実験1 immunobeadsの作成>
Dynabeadsの添付書に従う。簡単には、
1. 必要量のビーズを分注し、0.1%BSA/PBSで3回washする。
2. 最初に分注したのと等量の0.1%BSA/PBSにsuspendする。
3. 添付書に記されている抗体結合キャパに従って、一次抗体を加える。 4℃、ローテーター、2h
4. 0.1%BSA/PBSで3回wash - (以下はその後の解析に、一次抗体が邪魔になる場合に行うオプション)
5. 0.2M トリエタノールアミン (pH8.2)で3回wash
6. 20 mM DMP in 0.2M トリエタノールアミンでR.T 20 min ローテーター
7. 50 mM Tris-HCl (pH7.5)でR.T 15 min
8. 0.1%BSA/PBSで3回wash - <実験2 オルガネラの分離>
1. 組織、細胞を、ホモジナイズバッファーでホモジナイズ
2. 1,000 xg, 5 min
3. supを回収する。
4. 実験1で作成したimmunobeadsを使用直前に、0.1%BSA/PBSでwashし、3. のsupに加える。4℃、1h, ローテーター
5. ホモジナイズバッファーで5回wash
6. 最後にwash液をきれいに取り去り、beadsにSDS可溶化バッファーを加えて可溶化、解析に供する。