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この酵母は顔が違う

2016.10.12

野田 健司大阪大学大学院 歯学研究科 生命機能研究科(兼任)

大隅先生は東大駒場で一人でラボを立ち上げて酵母でオートファジーを発見し、生理学の竹重一彦さん、電顕の馬場美鈴さんというまたとない布陣で、それを報告した今回受賞対象となるJCBの最初の論文をまとめるなか、レフリーの細胞質が液胞におくられているという生化学的エビデンスを示せとの要求に応えて、私は学振研究員の坪井滋さんとともにその実験に取り組みました。当時、私はAtgの変異株のスクリーニングをした塚田美樹さんとともにオートファジーとして最初に大隅研に入った大学院生でした。その後、大隅研で学位をとるとともに岡崎の基礎生物学研究所への大隅研の移動の際、助手として連れて行っていただき、かれこれ13年ほど、オートファジー研究の一端にいさせていただくことができました。その間、学ばせていただいたことは、あまりに多く、この原稿ではまとめきれませんが、一つだけ紹介させていただけたらと思います。

大隅先生のよく言われたセリフで思い起こされるものの一つに「この酵母は顔が違う」というものがありました。もちろん酵母に顔はありませんが、認知心理学の教えるところでは、例えば車の正面が顔と捉えられることが多い事からも分かるように、ヒトは顔を他の物体とは異なり、すぐには言語化されないような特別な仕組みで認知しているとのことです。我々が細胞構造の形態学的特徴を論文として報告するためには、それを言語化する必要がありますし、昨今は数値化も厳しく求められますが、ただ言語化する以前に何かが違うということを認知していることを、おそらく顔が違うということで表現されているのだと思います。当時、酵母は最先端の研究材料の一つではありましたが、その花形テーマは細胞周期であり、信号伝達であり、その研究手法はプレート上にコロニーが生えるか否か、あるいは細胞抽出液を生化学的に解析することに強みを発揮していました。徐々に蛍光抗体法は使えるようになってきましたがなかなか難しく、酵母で光学顕微鏡の主な用途は四分子分析であったり、あるいは20倍対物レンズで細胞周期を観察するといったものでした。そのような状況で、タンパク質分解の仕組みを、100倍対物レンズの位相差顕微鏡で調べるというのは、かなり突飛なアイデアだと思われます。ただし大隅先生にはそれ以前に酵母液胞からV-ATPaseを発見するなどの酵母液胞の研究経験から、酵母液胞が実はそのような観察対象となりうる、逆に唯一のオルガネラであるという確信もあったそうです。その後の大隅研でも細胞の観察には力を入れてきて、常に光学顕微鏡を見ながら実験し、また馬場さんという当代一流の電顕学者のとられる美しい写真を前にして、顔が違うか違わないか、議論するのが常でした。

当時はそれがノーベル賞につながるとは夢にも思っていませんでしたが、ただ自分たちはものすごく大事な現象を調べているのだという確信はありましたし、又その間の議論は大変おもしろいと思っておりました。最近になりノーベル賞候補の呼び声がかかるなか、おそらくこの寄稿集でも語られる大隅先生のような人柄の方が、またこのようなある意味素朴な研究が取ったら、少しは基礎研究を取りまく風向きも変わるかななどと冗談めかしていっておりましたら、まさかの現実となってしまいました。こうなった以上、大隅先生がおっしゃられる基礎研究の発展を担うのは、バトンを渡された次世代の私達の責務だと思い、身の引き締まる思いであります。

なにはともあれ、大隅先生おめでとうございます。先生の掲げる理想はあまりに高いものですが、まずは無理をされないようお体を大事にしていただけたらと、弟子の一人として願っております。

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