中野 明彦日本細胞生物学会会長
京都大学大学院医学研究科教授,月田承一郎先生は,一昨年来膵臓ガンを患い,研究とともに闘病を続けていましたが,2005年12月11日,ご逝去されました。52歳でした。言うまでもなく,月田先生は世界の月田であり,日本の細胞生物学の至宝でした。かけがえのない才能が一つ失われました。日本細胞生物学会にとっても彼がどれほど大切な人であったか,失ったものの大きさを今痛切に感じています。何かしないでいられない気持ちになり,本号を月田先生追悼のための特別号とさせていただくことにいたしました。このようなことをするのは異例のことではありますが,多くの方が理解してくれるものと信じています。会長としての最初の仕事が,何とも悔しく悲しいことになりました。
月田先生の追悼文を書いて欲しいとお願いすることも,また大変つらいことでありました。どなたにお願いするかは,私の独断で何人かの方に相談し,決めさせていただきました。悲しい想いは言葉にできないとおっしゃった方もいました。竹市雅俊先生は,J. Cell Biol.の追悼記事に想いの全てを書いた,あれ以上の想いを書くことはできない,とおっしゃるので,そのJCBの追悼文を読んでくださいと会員に伝えることを許していただきました。一言書かせて欲しかったという方が他にもたくさんいらっしゃるかもしれませんが,何とぞお許しください。
奥様の月田早智子先生と一緒に写っている写真は,西田栄介先生の追悼文にもありました,朝日新聞の惜別の欄に掲載されたものです。早智子先生のご好意でお借りいたしました。
月田先生のご冥福を心よりお祈りいたします。