吉森 保大阪大学大学院医学系研究科/生命機能研究科
2018年の社員総会をもって会長を退任しました。私の会長職を支えて頂いた米村重信副会長、吉田秀郎庶務幹事、大杉美穂庶務幹事、濱崎洋子会計幹事、大野博司CSF編集長の各位に厚く御礼申し上げます。選挙管理委員長の井垣達吏先生、会計監査の永田和宏先生、目加田英輔先生にも大変お世話になりました。また事務局の金光朋子さん無くして学会運営は不可能でした。この場を借りて深謝申し上げます。
2年の任期はあっという間でした。仕事らしい仕事もしないまま過ぎた感があります。とりあえず、私の代で学会が潰れるという事態にはならなかったのでホッとしています。財政の逼迫が大きな問題でしたが、大野博司CSF編集長のご尽力で科研費、それも5年間のものが採択され暫くは息が付ける状態になりました。また会長諮問機関としての将来計画員会から様々な提言を頂き、それを実施に移すための計画実行委員会も発足させました。両委員会とも吉田秀郎先生にリーダーシップの労を執って頂きました。このように振り返ると、やっぱり私は何もしていないぞ、と思うわけですが、私が引き継いだ大野博司・新会長はこれまで既にCSF編集長として学会運営に関与されてきて内実をよく理解されており必ずや学会の発展に貢献されると確信していますので後顧の憂いはありません。
私が思い浮かべる細胞生物学会のあるべき姿は、現在の規模を保ち、若者が元気で、自由な議論ができる場であることです。学生の大会参加費を無料化したこともあって学生会員が微増しています。今後も様々な工夫を凝らして積極的に若い人達をエンカレッジしていく必要があるかと思います。細胞生物学若手の会はその中心となるものですが、事務局メンバーのリクルートや引き継ぎに課題があります。学会財政も、ずっと科研費だけに頼っている訳にもいかないでしょう。新幹事会あるいはその後に続く幹事会のご努力に期待したいと思います。私も、今後は一会員としてよりよい細胞生物学会作りのお手伝いをしていきたいと思います。
論文数や論文被引用数の低下などに現れている日本の科学の凋落は深刻です。原因は一つでは無く複合的だと思われます。国の施策が大きな問題ですが、若い世代の研究離れについてもっと真剣に対策を考えた方が良いでしょう。すぐには役に立たない基礎研究への理解を求めることも重要な課題です。基礎研究者の集まりである細胞生物学会は、こういった日本の科学を取り巻く状況についても活発に議論をし、意見を政府や国民に発信していくべきではないかと思います。私の任期中にはできませんでしたが、そのような活動は今後学会の責務のひとつとなるかもしれません。
最後になりますが、細胞生物学会の会員の皆さま、学会運営にご協力頂き誠にありがとうございました。学会並びに皆様の研究の益々のご発展を祈念して、退任の挨拶とさせて頂きます。