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評価をめぐって

1994.09.01
Vol.5 September

永田 和宏京都大学胸部疾患研究所細胞生物

 なぜサイエンスなどという七面倒くさい仕事を職業としているのだろう。そういえば『職業としての学問』などという本を,学生時代読んだこともあったが,よくわからなかったような気がする。まだ学問というものを職業として選択することが現実味を帯びていなかったということか。

 好きなのである,というのが,もっとも実感に近い。あるいは,それに尽きるとも言える。しかしそれではなんにも言ったことにはならないではないか,ということであれば,その内容をもうすこし分析して,それを好奇心と功名心という言葉で言ってみてもいいかもしれない。これは好きの内容というよりは,われわれを動かしているmotive forceであると言ったほうがいいだろうか。

 このような括り方に眉をひそめる向きがあるかもしれない。好奇心だけで,莫大な金を使っていいのか,税金の無駄遣いではないのか,云々。サイエンスは,究極的には人々の利益につながらなければならない,少なくとも,人類への還元を視野においてなされるべきである。当然そのような声は聞こえてくるだろうが,不遜の誹りを予想しつつ,敢えて私は好奇心と言っておきたい気がする。もちろん研究が応用につながり,人類のなんらかの利益につながればそれに越したことはないが,そして事実,話のなかでは時に応用的側面を強調したりもするが,それは私の場合,あくまでも結果であって目的ではない。少なくとも研究をdriveしているmotive forceではない。また功名心とは何事か,という声も聞こえてきそうである。不純な,という訳である。確かに学問の場に功名心という言葉はなじまないようだが,実感としてはこれも無視し難い。人よりも先にある現象を解明したい。発見の一番乗りとして認められたい。こんな率直な欲求なくしては,労働時間などというものにお構いなく,多くは家族サービスをも犠牲にして,しかもおおかたは徒労に終わる日々の労働を支えられないだろう。特に若い研究者にとって,ある種の功名心は是非とも必要なアクセルである。

 大切なことは,この好奇心と功名心のバランスであろう。純粋な好奇心がベースにあって,それに功名心の味付けが加わるというくらいが理想だろうか。前置きが長くなってしまったが,この功名心という奴がなかなかくせものなのである。

 最近の新聞紙上におけるサイエンスの記事の多さには眼をみはるものがある。サイエンスに対する一般の関心の高さを示しており,社会への還元という意味からも,これは言うまでもなく良いことである。やはり職業柄,新聞のサイエンス欄にはおのずから眼がとまり,結構面白く読むことも多い。しかし一方,新聞をはじめとするジャーナリズムが,サイエンスの場に無限定に持ち込まれるのは困ったものである。ある研究所の年報では,新聞発表をいくつもコピーして掲載している。また,学会ごとに毎回記事を載せているような研究者もある。最近こんな現象が殊に顕著に思われる。記者からは,研究者の方からの売り込みが結構あるということも耳にした。このような形での,功名心というのは浅ましい。

 浅ましいというのは,別に研究者個人の問題だから,それ自身はどうこう言うことではないのかもしれない。しかし一方,大学などには自己評価が求められ,各大学それぞれ評価基準などを作って対処している。自己評価は必要だろう。しかし,時に,新聞に載った記事はありませんかと,事務サイドから求められることがある。自己評価だけでなく,たとえば概算要求の際にそれを求められたり,研究費などの報告書にさえ,新聞記事を張り付ける欄があったりする。

 これは危険なことである。事務職の人や,文部省などは,個々の研究をいちいち論文に当たって知ることはできないから,新聞記事などは便利であろう。しかしそれはあくまで商業ベースの記事であり,その研究の価値とはほとんど関係しないと思っておいたほうがよい。それが何となく,評価の場にまで幅をきかせるようになるとすると,人ごととして放ってはおけなくなってくる。そして何より危険なのは,研究者自身が,そのような形での評価がなんとなく気になって,知らず知らずそれらにとらわれてしまうことである。サイエンスの場へのジャーナリズムの浸食は今に始まったことではなく,とどめようもないことであるなら,われわれサイエンスの場にいる人間は,それらに対して一層注意深くあらねばならない。

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