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三次元の恋

2007.06.01
Vol.18 May

山本 章嗣長浜バイオ大学

 二次元の人を恋い責任を負うこともなかりしころのハンカチ出で来ぬ (永田紅、日輪)

 長浜バイオ大学に移動して気がついたら4年が立ち、一期生たちは元気よく旅立ってしまった。あわただしい日々の中で時々、ふと、永田紅の短歌が浮かぶ。私は、その生理的なぬくもりが好きである。意識の底に数年間沈んでいたこの歌が数日前に浮上して、作者は三次元の恋を経験しているのだという不思議な感覚で満たされた。二次元はあこがれと想像の世界であり、三次元は現実世界であろう。二次元の星座からは神話的物語が生まれ、三次元の恒星地図が銀河系の研究に役立つ。ところで、この文章を書いている私は電顕屋であり、恋愛が実に似合わないベタな人間でもあるので、3D電顕の話になるのではないかと懸念される向きもあろう。実は、その通りである。ただし、二次元の電顕データの責任は負わないという話ではないのでお許しいただきたい。

 近年はバイオイメージングの進展が著しく、生命科学の新しい一領域を形成しつつある。しかしながら、究極のバイオイメージングの1つであるはずの電顕が十分に利用されず、また、若手研究者の獲得に成功しているように見えないのは残念なことである。その1つの理由は、二次元の電顕写真を読み解く難しさにあるのではないかと思う。電顕像は豊かな形態情報を与えてくれるが、二次元からオルガネラなどの全体像を把握することはなかなか難しい。

 その中で、電子線トモグラフィーによる3次元再構築が電顕に新たな輝きを与えている.電子線トモグラフィーは決して新しい方法ではないが、コロラド大学のマッキントッシュらの長年の努力により、ソフトの進化や傾斜装置の改良が行われた結果、その実際的な利用が広がりつつあり、最近、いくつかのラボからすばらしい報告が出されるようになった。条件が整えば、3Dで1~3 nmの解像力で再構成が可能であり、細胞の微細構造の中に身を置いたような像を得ることができる。

 電子線トモグラフィーでは、傾斜した試料を観察するため、一般に、200-300 kV以上の高圧電顕が必要で、装着すべき装置もいまのところ高額である。また、データ処理に専門的知識を必要とする。コロラド大学の電子線トモグラフィーシステムはNIHから継続的な援助を受けており、数多くの細胞生物学者と共同研究を進めている。日本にも、大阪大学・超高圧電子顕微鏡センターのように電子線トモグラフィーの共同研究を進めている施設が存在するが、拠点となる施設の機器と研究者ポストとをもっと充実して若手研究者を育てないと、国際的な電顕の新しい波、そして細胞生物学の新しい発見から取り残されてしまうであろう。

 現在の電顕のもう1つの弱点は生きた細胞を観察できないことである。しかし、光顕で観察した、その細胞を電顕で観察することはそれほど難しいことではない。蛍光顕微鏡などで特定のオルガネラを追跡し、イベント直後に固定すれば、時間分解能に電顕レベルの空間分解能を付与することができる。蛍光顕微鏡といえば、今も、中野明彦氏らのすばらしい仕事が網膜に焼き付いている。酵母のゴルジ層板から逆行性の小胞が形成されるのを可視化したビデオ画像は驚愕に値するほど鮮明であり、見た者に数多くのインスピレーションを与えてやまない。小胞の形成の詳細はいまのところ想像するしかないが、例えば、同一酵母で、これと電子線トモグラフィーとを併用すれば、どのようなことがわかるであろうか?。勝手にわくわくしている。

 電子線トモグラフィーも含め、次世代の電顕研究を担う人材の育成は、日本の細胞生物学の今後の発展にきわめて重要である。不安を持ちながらも夜遅くまで頑張っている若い人にエールを送りたい。下の短歌は、学部の4回生の気持ちをよく表している。とくに、昨今、ポスドク後の就職の厳しさは電顕分野にとどまらず眼に余るものがある。適切な研究ポストが確保され研究の環境が整うことによって、同じ星空を見ても、最後の俳句にあるような自信にあふれた人材に若い人が育つことを祈っている。

 星冴ゆる空を仰ぎて帰るなり安らぎに似てさらにさびしき(竹本経緯子、現、ウイルス研)
駅を出てどっかと座るオリオン座(奈良篤樹、Eメール句会ひゅー)

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