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細胞とつきあいつつ思うこと

2003.12.01
Vol.14 December

大隅 艮典基礎生物学研究所

 歴史的に見て細胞内の構造,オルガネラの発見や細胞機能の解析は,様々な生物の観察によってなされてきた。近年,多くの生物の遺伝情報の解明が進みつつあるが,研究材料として確立されていないものは軽視されたり敬遠され,多様性という生物学の基本的な命題が崩れていくことを懸念している。我々の世代が子供の頃にはまだ地域に自然が多く,私自身も昆虫少年として山里や野原を駆けまわったり,身近に多くのいきものを眼にし,それらの活動を実体験を通じて学ぶことも多かった。これからの生命科学を考えると,細胞生物学の研究はさらに多様な実験系を包含していることが大切ではないかと思う

 分子生物学は間違いなく大腸菌やファージを材料としてスタートした。従って,私より先輩の分子生物学者の大半が大腸菌の研究者であった。しかし当時は大腸菌を研究しているという意識はなかったように思う。それはその研究が遺伝暗号,セントラルドグマの解明を始めとして地球上の生物に普遍的な原理を解き明かすことにつながっていたからであろう。その後,高次な生命現象の解明という方向から,大腸菌から様々な生物材料を対象とする研究が広がっていった

 もちろん,今でも大腸菌を実験系とする国際的に活躍する優れた日本の研究者達がいるが,その数は碓実に減ってきている。これは時代の趨勢として当然のことだとも言えようが,その後継者がいなくなってもいいということではない。分子生物学の本質が,わずか2μmの細菌から拓けてきたことを実感してきた世代の交代、大腸菌から研究を始めた世代が研究の第一線からいなくなることの意味は大変大きい様に私には思える。恐らくこれからは分子生物学の講義もいきなり真核生物から入って,prokaryoteがほんの少しだけ付け加えられるようになるかも知れない

 医療に直結することが最重視される今の風潮からすると,日本から大腸菌もやがては酵母や細胞性粘菌も,ましてやあまり知られていない微生物の基礎研究は,キックアウトされてしまうのでないかと恐れている。若い有能な人が微生物を対象とした研究で研究室を立ち上げることができるようなシステムが確立して欲しいと願っている。これは微生物学を守りたいという狭小で消極的な意味では決してない。多様性の一貫として微生物の研究が認識されることが生物学にとって重要だと考えるからである

 残念なことに日本にはアメリカのASBMBに相当する確固とした微生物研究のサポート体制がない

 この頃国際会議に出て強く感じることの一つに,酵母の研究に高等動植物の研究者が驚く程熱心に関心をよせ,鋭い質問を浴びせられることがある。実験系に関して海外の方がはるかに敷居が低い。一方この頃日本では若い世代に自分の実験系からのみすべてを見る傾向が強まってきているように感じる

 同じ生物現象の異なる実験材料での解析はいうに及ばず,全く違う現象を解析していると思っていても実は同じ基本原理に行き着くかも知れないと考える姿勢が大切ではないかと思う。生命現象を明らかにするためには,特殊な系の詳細な解析から一般性が見えてくること,大腸菌で解明できる問題は大腸菌で,酵母で明らかにできる基本問題は酵母で解析するのが当たり前であるという意識が大切ではないだろうか

 研究評価の導入などで,日本の研究現場では手を広げる余裕も少しずつ失われつつあり,オリジナリティーを重んじ新しい概念を導くような研究を行う事が難しくなってきている。このような時こそ実験系から考えるのではなく,個々の研究のもつ本質を議論できるような姿勢をもちたいものだと思う。魅力的な学会とはという議論がどの学会でも盛んに議論されているが,発表データの先に見えるものを議論できる場にしようとする姿勢を持っことが最も肝要かも知れない

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