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科学者は云いたいことを云う

1999.01.01
Vol.9 January

小安 重夫慶應義塾大医学部微生物学教室

 私事で恐縮だが,小生週末に時々小学生のサッカーチームのコーチをしている。先日4年生のチームの初公式戦があり,張り切る彼らを連れて試合に臨んだ。結果は1対1でPK戦になった。結果は5対4で勝ちを収め,めでたく公式戦初勝利と相成った。コーチとしてはキッカー5人全員がPKを決めたことにいたく感激し,また感心した。しかし試合後に各自に感想を聞いてもっと驚いた。誰一人として緊張したと答えたものがいなかったのである。むしろキッカーに指名されなかった子供たちの不満を聞かされる羽目になった。サッカーではPKは入って当たり前とはいえ,自分の記憶にはPK戦というのはいやなものであり,とても緊張した経験しかない。事実,アマチュアの試合では5人全員入れるのは珍しく,10人蹴って9人が入れたPK戦というのは見たことがなかった。自分が失敗すればチームが負けるという状況の中でも緊張せずに蹴ることができるというのは大変なことである。小学生だからあまり深く状況を考えず,だから緊張しないのだろうか。

 そういえば最近はテレビで色々なスポーツ中継を見ていても選手がリラックスしてインタビューに応じていることの方が多くなったような気がする。かつての「………を背負った」という悲愴感を漂わせたり,批判を恐れて発言しない,あるいは極度に周りに気を使った発言に終始することはむしろ稀である。多くの選手が自分の思いを自分の言葉で表現している。とても自然で好感が持てる。当たり前といえばそれまでであるが,これまでどうしてそう出来なかったかとも思う。できなかった理由の一つは,ストレートな表現に対して出てくる色々な形の批判であろう。日く「負けたのに笑うとは何事云々」「……の期待を裏切っておきながらあの態度は云々」。極端だと思うのは「高校生のくせに勝つために小細工をするとはけしからん云々」という高校野球である。決められたルールに乗っ取ってゲームが進行するという前提で行われているスポーツに奇妙な不分律があるのでは何をやっているのかわからない。故に小生,高校野球は大嫌いである。大体において批判する勢力は旧体制派,言い換えると古い世代であり,悪いことにこういう人々が物事を決めているのでどうにもならない場合が多い,というのが通り相場のようである。逆に若い世代になればなるほど物事をストレートに表現するようである。自分の気持ちを自分の言葉で語れることは素晴らしい。

 一方,科学の世界でも自分の言葉でストレートに表現することは本来必要不可欠なものである。しかしながら学会などでいわゆる「えらい人」に向かってストレートな質問をするというのはなかなか難しいようである。かつて小生が耐えられなかったのは,医学系の学会でよく聞かされた前置きで「大変素晴らしいお話をお聞かせいただき,大変有り難うございました。ところで一つお教えいただきたいですが……」というフレーズである。こんな前置きをしている時間がもったいないばかりでなく,こんなに褒めたら率直な意見などあっても言えなくなるというものである。小生などはもともと無遠慮な性格であったこともあり,20代の頃から少なくとも科学に関してはあまり遠慮をしたことはない(勿論その分,自分の発言がもとで物議を醸したことも一度ではない)。ところがうれしいことに最近では多くの学会で前置きなしにストレートに質問をする人が増えている。しかも大学院生やポストドクぐらいの人が多く発言しているのを見るようになった。これは国際学会やシンポジウムでも同様である。かつては若者の発言どころか日本人の発言がほとんどなかったような場面でも,最近は大学院生やポストドクがどんどん発言している。考えてみれば,現在の科学が欧米の文化にそのルーツをもつためか英語で論理構築をすることの方が楽であることに加え,英語には日本語のような敬語を使う必要がないという利点がある。科学においては本来当たり前のことであるとはいえ,日本人が欧米人と同じように議論に臆すことなく参加するようになったことは素晴らしい。もしもこれが語学の問題ではなく,スポーツ選手に 見られるような世代の違いであれば云うことはない。今の小学生が科学者になるころにはどのような場面でも対等に物を言い,自己主張をし,益々積極的に科学の論議の中に加わっていくことを願う。

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