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飢えはやってくる

1998.10.01
Vol.9 October

黒岩 常祥東京大学大学院理学系研究科生物科学専攻

 先日何気なく見ていたテレビニュースの中で,骸骨のように痩せ細り,生きている限界を越えたようなアフリカの子供達が,海外支援隊の隊員が持った食料袋から歩く度にこぼれるトウモロコシを, 一粒ずつ拾っては食べ,食べては拾いながらついて行く光景があった。一見,これは,これまで幾度となく報道された戦争や内紛の続く地域の悲惨な映像であろうと思った。しかし,何処かいつもの光景とは違う気がして見直した。これまでは,こうした子供達がでてくる背景は荒涼とした荒地かサバンナの難民キャンプ地であった。しかし,今回は緑豊かな林の中の木もれ日によって下草が明るく輝いた小さな広場であった。撮影されたスーダンの都市ワウ〔Wau)は,アフリカでもこれまで比較的肥沃で食料も安定し安全であったところだという。関係者は,今, トウモロコシを蒔いているが,今期は育たなく,間に合わないと悲壮な顔つきだ。恐らく干ばつがおきて,穀類から育たなくなっているのであろう。

 この10年,地球環境・食料問題がクローズアップされテレビや新聞でも取り上げられるようになった。その一例として,数年前の朝日新聞は,特集「飢えはやって来るのか」の中で,人口と食料問題をとりあげていた。その社説では人類が21世紀において生存し続けるためには,温暖化,酸性雨,砂漠化,土壌流出,熱帯雨林消滅,生物絶滅,海洋汚染,廃棄物,エネルギー危機,人口爆発,貧困………など複雑な多元方程式を解くことが必要だと説かれていた。提起された問題に少なからず重複が見られるが,いずれも植物の生存と生産性の問題に帰結するところが多い。2030年には地球人口は90億人に達するという予測は,多くの専門家の意見の一致するところである。しかし,その時に世界の穀物生産が何億トンになるかという予想は専門家の間でも少し違いがある。その中でワールド・ウォッチ研究所のレスター・ブラウン所長は,「穀物生産は21億トン程度であり,5億2干6百万トン(約19億人分)が不足する。生産性がこれまでのように向上しない原因は,多くの大農業国が急速に工業化し,耕地が減っていることにある」という意見を述べている。食糧が不足すれば餓死も増え,政情不安に陥る国もでて世界が混乱することも起こりうるであろう。

 農業技術の発展は限界に達し,従来のような穀物の増産はこの先望めないという見方がある。本当にそうであろうか。従来の穀物の生産性の向上はむしろ化学肥料に依存したものであったのではないだろうか。現在, 温度, 水分,風,光などの環境の変動に応答し耐えうる植物を人為的に生産することに成功しているとは言い難い。確かに植物の機能と構造は組織レベルで解明されつつある。しかし,植物の機能の増強には,植物だけでなく,動物,菌類を含んだ真核細胞に共通な基本原理を,細胞と分子のレベルで早急に解明することが必要である。真核細胞の本質が分子細胞生物学レベルで解明されれば,環境の変動に関わりなく穀物の生産性を人為的に保ったり,より生産性の高い食用植物を生み出すことも可能になるだろう。ワウの子供達の背景にある植物も,直ぐに食用になるような植物に変換できれば,飢えは回避できるはずである。現状からみると,世界政情が安定していたとしても,21世紀には,飢えはアフリカから,アラビア半島を越え,インド,中国へと,そしてアジア全体に広がり日本にも必ずやってくる。21世紀においても人類の生存を確実なものとするためにも,まだ飢えは先(?)と考えて余裕がある時に,これまでに微生物や動物で発展した細胞生物学の知識を取り入れながら,植物独自の細胞生物学の発展が図られることが望まれる。

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