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研究のプレゼンテイションについて:その二面性

1994.12.01
Vol.5 December

瀬野 悍二国立遺伝学研究所

 その1,究める:先日,カナダ出身の天才とも鬼才とも言われたピアニストGlenn Gouldのドキュメンタリー風の映画を観てきた。1962年,留学先のセントルイスで私もGouldの演奏会の切符を手に入れたのであるが,ものの見事に前日になってキャンセルになったことを想い出す。1964年になってGouldは突然公開演奏活動を止め,以後はもっぱら,レコーディングを通してのみ芸術を追及しつづけ,1982年,50才という若さでこの世を去った。音楽の演奏においてライヴ録音は生き生きとしてよいものだし,また,演奏会場でのみ可能な演奏家と聴衆とが交わす無言のコミュニケーションはレコードからは味わえないものだが,Gouldは将来を予見してこれを否定し,完壁な演奏はレコーディングによって達成できると考えた。映画では,これは誇張かもしれないが,日常のGouldは人とは直接会うことはなく,親しい友人とのおしゃべりも電話で,また,マスメディアによるTVや雑誌インタビューもすべて姿を見せずに電話で対応したという。

 以上のようなGouldの考えは,研究者が自己の研究成果の真価を論文で問う考えと相通じるものがある。事実,極端な例では学会やシンポジウムには出てこない優れた研究者がわれわれの周りにもいる。それはそれで考えさせられるが。また,今朝の新聞欄で,人気TVニュースキャスターK氏が意外にも本当はラジオ放送で仕事したいのだと言っていたが,これも,Gouldの考えに通ずるものであろう。

 私は研究者の活動メディアとしてシンポジウムや学会の年会を決して否定しない。ただ,Gould的に言えば,成果の発表にいて,如何に相手にわかり易くかつ正確に伝えるかの周到な準備が大切であろう。昨今は研究室のOA化が進み,スライドもカラフルに,いろいろな表現が大変容易になった。しかし,優れた研究者が神経の行き届いたプレゼンティションに努力を払うのは今に始まったことではない。著名な研究者H,N両教授は以前からスライドの作成にあたっては入念な下書きを作り,わかりやすい構図にも腐心し,一枚のスライドにおさめる文字数も一定以下にすることを厳しく守っておられると聞いた事がある。また,内外のシンポジウムでの招待講演にあたって,前夜まで研究室の若い研究者を相手にしつこいまでに意見を聞き,繰返し原稿を練るS大先生を私は知っている。

 その2,広める:研究者も社会に生きる一員であり,また,研究は税金によって支えられているのであるから,その成果は当然何らかの形で社会に還元されねばならない。しかし,昨今その成果の求め方がせっかちになり,また発表の仕方もワンパターン化してきた。たとえば,私のいる研究所の掲示板はいつも公開シンポジウムのポスターで溢れ,また,種々のグループ研究によるレポートがしばしば送られてくる。しかし,そのように金と時間をかけたプレゼンティションによって,研究者でない人達はどの程度有効に研究成果に接し理解しているのだろうか(最近,そのことについて,やっと改善の動きも出はじめているようだが)。もし成果公開の目的が活用されていないとすると,これは,われわれ研究者の責任であり,明かに努力不足のためである。

 私のいる国立遺伝学研究所では毎年11月の文化の日前後に東京の国立科学博物館で公開講演会をひらき,教授,助教授級のスタッフが2名で講演する。いつも盛況で,講演後の質問も活発できびしい。聴衆は高校生,予備校生,大学生,大学院生,会社の研究所関係のひと,年輩者も含めた社会人と相手の巾が大変広く,話す方も大変苦労する。講演中に,ついつい仲間の間でのみ通ずる言葉(lab jargon)が口をついて出てしまって,聞いている同僚はしばしば冷やひやする。研究者はlab jargonに慣れてしまって,往々にして一般の人々の言葉で語るのが苦手である。一般の人々に通ずる表現を考える努力を(論文を練るのと同等には)していないと言えよう。その点,TV,新聞などマスコミの人達のプレゼンティションの努力には見習うべきものが多い。以前どこかで,アメリカでベストセラーになった分子生物学の本について,何と,その本の挿絵はイメージ的なもので統一され教科書でおなじみのものは一切使われないユニークなものだと紹介されていた。われわれも発想の転換をして,一度そのような細胞生物学の本を作ってみたいものである。

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