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「大学の先生」という職業

2001.10.01
Vol.12 October

中西 真人産業技術総合研究所・ジーンディスカバリー研究センター

 「赤の発見 青の発見」(西澤潤一・中村修二・著,白日社)という本をご存知だろうか。高輝度発光ダイオードの発明者二人による対談集で,巷で評判の新刊書である(著者としては名前が出ていないが,この本は気鋭の科学ジャーナリスト・松尾義之氏の力作でもある。ちなみに私が好きな「ワクワク・ドキドキ・サイエンス!」という言葉は,松尾さんに教えてもらった)。この本には現在の日本の大学や科学界への厳しい批判も遠慮なく書かれていて,いろいろと考えさせられる。大学と言えば,昨年度のノーベル賞を受賞した白川英樹博士が,現在の日本の大学教育はおかしいと記者会見で繰り返し語っておられたのも記憶に新しい。彼らは工学分野の専門家であるが,これらの批判はある程度ライフサイエンスの分野にもあてはまるように思われる。

 今,大学教育は大きな転換期を迎えている。重点化に伴って大学院定員が激増し教育の質が低下した一方で,国立大学の独立法人化ともからんで,研究業績をアピールできるごく一部の大学・研究所にしか大きな予算が配分されなくなるのではないかと高う危機感に,大学は激しく揺さぶられている。簡単に言えば,大学という世界で落ちこぼれたくないと組織も個人も必死になっているとも言える。このように外圧にさらされた時に,手っ取り早く目に見える「数字」を挙げて一喜一憂するのは世の習いである。例えば,その大学の教官の名前が出た新聞記事がいくつあったかとか、研究論文を発表した雑誌のインパクト・ファクターの合計がいくつであったとか,大学全体(あるいは各教官)が獲得した科研費が総額いくらで,それは全国で何番目であったとか‥‥

 しかし,このように目に耳える「数字」を全面に掲げて(組織も個人も)必死で競争を勝ち残ろうとしているうちに,大学の最も重要な任務の一つであった(あえて過去形で書かせてもらうが)人材の教育・育成のような,具体的な数字として評価しにくいことについてのポリシーがどこかに忘れ去られてしまったような気がする。私の大学院時代の恩師は,研究室を主宰した時,「自分の研究室に来た学生はすべて一流の研究者に育ててみせる!」という気概を持ってスタートしたという(もっともこの話には,「何年かやってみて,やはりそれは無理だというのがわかった。」という落ちがあるのだが‥・)。でも,今の大学の先生は,新任の教授といえどもちょっとぼやぼやしているとすぐに落ちこぼれの烙印を押されかねないので,次年度の研究費の確保や優秀な大学院生(労働力)の募集に忙しく,教育についてこんな気概や夢を持つ余裕はないのかもしれない。

 私事で恐縮だが,この3月で大学を辞して,4月から独立行政法人・産業技術総合研究所(略称・産総研)というところに勤務している。これまでは大学という場しか知らなかったが,以前,ある親友に「大学の先生は年を取ってからでもできるけど,研究できるのは心も体も若いうちだけだと思うよ」と言われたことが研究の場を移すきっかけとなった(ちなみにその友人は科学界には詳しいが大学人ではない)。超一流企業の部長をしている別の友人には,「大学の先生が研究室を主宰する程度で独立なんて言うのはおかしいぞ」と笑われた。彼は近々会社を辞めて「独立」し,自分でベンチャー企業を始めるという。どうやら,世間での大学の先生の評価というのはその程度のものらしい。産総研は大学より一足先に独立法人化した組織だが,名前のとおりそのポリシーは単純明快であり,自分さえしっかりしていれば大学以上に研究にも教育にも十分時間を割ける環境である。大学ではあまり教えなくなった「ワクワク・ドキドキするようなサイエンス」を,新しい組織の中で次の時代を担う若い研究者に伝えることができるかどうか,これからが私にとって教育者としての正念場であると感じる毎白である。

 

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