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研究材料と生物の多様性

1997.10.01
Vol.8 October

浅島 誠東京大学総合文化研究科

 地球上にはおよそ800万種の生物がいるといわれている。それぞれの生物は種 species固有の生殖方法を通して個体発生をし,形づくりを行っている。それらは私達の目にふれるものから北極や南極などの極限の地,深海や高山に至るまで、その生息範囲の幅と環境には大きな変化がある。それぞれの種はそれぞれの生息の場でたくみに適応している。この生物の形態や機能、生理的な多様性こそ、生物の特徴といえよう。近年,地球上の生物のもつこの多様性に大きな新しいスポットがあてられようとしている。それは大変に喜ばしいことである。

 しかしながら現実に私達の研究している材料について振り返ってみると,学会や国際誌で発表される“生物種”は年々,その数を減らしてきている。その背景には遺伝的系統が明らかで,しかもそれぞれ研究材料としての特長とメリットをもった特定の種をより深く解析していくことが、新しい情報を次々に生み出していることがある。多分両手の表裏(約20種)の材料で現在の研究者数や発表論文数の7割方,いくのではないかと思う。あまりにも少ない種で生命科学の研究が進行している。0.00025%で生命を知ろうとしているのである。この傾向は年々,強まっているようにも思われる。しかし,それ以外の生物種の中に,上記の生物種ではなかなかみえない,またはみられない研究材料がたくさんあることにもう少し,目を向ける時期ではないかと思う。私が経験した中では,海洋科学技術センターでは深海1,500mに生息していたカニを地上にもってきても,今までと全く同じように行動する様子を見た。そしてアメリカで6,000万年前の地滑り以後,ずっと暗黒になっている地底川の中で完全なアルビノの魚や両生瓶の世界を見た。これらの地球に生息する生物の不思議さは,色々な面白さを提供してくれる。水圧に耐える細胞の仕組みや,暗黒の中の生殖と発生の様子など,様々である。また,私は毎年,研究材料の1つのイモリを採りに,研究室の大学院生達と一緒にゆく。このとき自分の研究材料を野生で現実に見ることで,彼らの生物への愛着と取り組みが深まっていくことは,何度も経験している。

 ショウジョウバエはアメリカのMorgan以来の伝統的実験動物で,生命科学に果たした役割は大きい。C.elegans も長年の努力によって実験材料化し,それによって細胞系譜が明らかとなり,細胞分化やアポトーシスの遺伝子への展開となっている。最近ではゼブラフィッシュの突然変異体づくりと遺伝子解析も盛んである。国際的に使われているどの実験材料にもそれぞれ利点があるわけであるが,それが研究材料となるのは初期の人達の鋭い先見性と膨大な努力があってはじめて,成し遂げられたことである。そして,それによって多くの研究成果がもたらされたといえよう。ふりかえってみて,生物の多様性の中で日本の研究者が研究材料として開発し,現代生物学で有効に活用されているものがいくつあるだろうか。気付くものもいくつかあるが,まだその数はあまり多くなく,遺伝的系統種となるとごく限られてくる。これからの研究者は,もっと地球上の色々な野外の生物にも目を向けて,現在使われている実験動物ではなかなかみられない色々な生物のもつ面白い生物現象を自分で見つけ出し,それを実験材料として見出す努力をしてよいのではなかろうかと思う。現代の生物学の流れからは逆行するが,若い人達に生物科学の面白さを真に理解させるには,そのような方向もあって良いのではないか。それには鋭い観察力と洞察力,忍耐と努力が必要である。一見,泥臭い仕事であるが,それによって生物学は新しい大きな展開をすることが多くあるのではないかと思うこの頃である。

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