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知的生物としての科学者の責任

1995.09.01
Vol.6 September

崎山 比早子放射線医学総合研究所

 「私は人間に文明をもたらした。運河を作り畑を増やし,牧草地を増やし,人間の富を何倍かにし,都市を作り,文字を作った。それはすべて人間のためだった。自分は人間の幸福のみを考えていた。人間の生活は確かに豊かに快適になった。しかしその反面森はなくなり森に住むいくたの動植物は死にたえてしまった。文明は人間に幸福をもたらしたかもしれないが、それは人間以外の生きとし生けるものの犠牲の上になり立っているのだ。」これはシュメールの伝説的なギルガメッシュ王を梅原猛が戯曲化した「ギルガメッシュ」の最後の場面での王のセリフである。2/3が神で1/3人間の王が自分が人間に文明をもたらしたことを後悔し,神にわびているのである。近代科学技術の発達の結果地球環境の破壊はその規模と速度においてギルガメッシュの嘆きをはるかに越え,いくたの生物を滅ぼした当の人間の存続すら危ぶまれるようになった。人間による環境破壊,自然からの収奪は人類史上いつ頃から始まったのだろうか。「自分をつくりだした生物」(J.Kingdon著,管啓次郎訳,青土社)によれば,それは先史以前すでに火や石器を使い出した時代にまでさかのぼることか出来るそうだ。自然からの収奪を自然の回復力以上に資源を使うことと定義すると人類の歴史は環境破壊の歴史であり,科学技術はそれを大巾に加速する結果となった。しかしその反面同じ科学及び科学技術の発達により人類はすばらしい自己開放をなしとげた。それは人類そのものの認識であり宇宙の認識である。地球はいつ頃どのように形成され,どのような経過をたどって現在に至り,何故太陽系の中で唯一水の惑星でありえたのか。生命はいつ頃生まれどのような進化をたどって現代人が出て来たのか,その根源を35億年の過去にまでさかのぼって考えられるようになった。さらに人類は地球から飛び出して宇宙から地球を見ることも出来た。また人間の住む銀河系は数千億の星から成り,宇宙には一兆にも及ぶ銀河系が存在し,その星々にも誕生と消滅があること,そして我が太陽も50億年もすれば燃え尽きてしまうであろうことも知った。人間が宇宙の中の生命の星として地球を認識した何よりの成果は,地球環境が非常に微妙な均衡の上に保たれており,その均衡は生物と地球の共同作用によって形成されるものであることを理解したことであろう。地球が一つの生命体であるなら,その回復力以上の傷をつければ,致命傷となるだろう。人間はいままで,先史時代はゆっくりと,現代では破壊的な速度をもって,地球環境を侵蝕しまくってきた。その活動はあたかも人間が地球という生体における癌であるかのようである。しかし,いまやようやく人々は自分達の行動の結果が何をもたらすのかに気が付き始めたのである。これもまた科学の成果であった。

 地球上で唯一文明を持った知的生物である人間は,人間だけでなく地球上の生物の存続に対しても少なからぬ責任はあるだろう。アインシュタインが,生涯核兵器の廃絶にむけて世界に向って発言して来たように。ラッセル・アインシュタイン声明から40年後にいる科学者は一歩進めて核兵器のみならず,Kingdonの言葉をかりれば「今日の世界で森林や原野を侵略して暴利をむさぼる商人の軍団」や,我々一般市民の活動のもたらす環境への影響について警告を発してゆく義務があると思う。人間はいま価値観の変換を迫られているのである。より便利で,より速く,より快適なものを追い求めて来た生活様式を改めて,より自然の律動に合わせた生活に変えてゆかなくてはならないだろう。多分そうしなければ人類の存続は危ういだろう。こう考える時私はいつも皮肉な感慨をおぼえるのだが。それは西洋人がアメリカ先住民を野蛮人として虐殺し(「わが魂を聖地に埋めよ」D.Brown著,鈴木主税訳,草思社)滅ぼしてしまった彼等の文明の中に現在我々が指向する方向性が示されているということである。「The earth does not belongto us.We belong to the earth.」という視点である。

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