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生物科学における価値観の多面性と新たなアプロ一チ

1990.06.01
Vol.1 July

井川 洋二東医歯大・医・教授/理研主任研究員

 この4月1日付で東医歯大・医の生化学を担当し始め、基礎医学の変貌を再認識した。学としての医学を支えてきた基礎医学が分子生物の発展,というよりDNA⇔蛋白⇔抗体の所謂る“バイオの三角形”の応用により大幅に形を変えた。

 生命が,その保有する数多くの遺伝子のプログラムされた発現によって維持されることを考える時,遺伝子発現の制御の仕組みを探ることが基本となることは当然と云える。

 しかし,他方,高等動物の遺伝情報の膨大さを考える時.DNAの解析からだけでは到底この複雑な生命体を理解することはできない。ここに,自然界の生き物から,研究対象を抽出する生物学的センスが要求される。このセンスは生物を直接扱う研究者間の交流―多くは先生から弟子へ―によって伝えられる。この促進の場が研究室の使命であろう。

 生物の不思議さへの喚起も生物科学をドライブする中心的要因である。先日、Mlの学生を理研の筑波センタ一に連れて行き,研究前線にある研究者に触れさせた。彼等は実にストレートに感激を表わし,“感激”の誘導こそが教育の根本であることを思わせ,更に苦い層に触れさせねばと感じた。

 科学の流れを広い視野で見通して,新たな流れを生み出す研究リーダーの育成も大切だと信じている。NIHグラントの必要性、研究者の企業との合流、ブラックボックスの解明を,時代の要請を先見して唱えて生物研究をリードしたA.コーンバーグ博士の存在は米国の生物研究を大いに推進したと思う。本邦ではともするとフロントで手を動かすことのみが科学と思う傾向にある。情報量の多い生物の研究では,どうアプローチするか戦略を思考することも大切で,これは研究者個人の背景のユニークさに負う所が多かろう。

 科学の正しい評価を身つける訓練も大切である。特に成書を使って記憶を中心としてきた本邦ではである。私はJ.B.モロニー博士の研究室に居たことがあるが,名前を冠したウイルスの分離では知られるもののど胆を抜く出版物はなかった。しかし超遠心でウイルス材料を精製する方法を確立し周囲では,“モロニー,プレップ〝と呼んで評価しどの会議でも騒がしいR.ヒューブナー博士の扱い方も超一流とされていた。

 科学を文化の一端とし,科学的評価を真摯に,しかし多面的に行うことは欧州では更に顕著のように思う。理研はパスツール研と協同で研究を進めている関係で,フランスで若干レベルの高い会合に出たことがあるが,先に席を占めていた苦い研究者が,遅れてきた老学者にいやみなく席を譲る様は見事である。英国でも,ある研究者に,これだけの研究をしてるのにもっと研究費が出ても良いと云ったら.もし余計にあったら隣りの研究者にやるべきだ,私などとてもとてもという調子。出版物,研究費の額,賞等が中心となって科学の落着いた良さを味わう風調を失っては元も子もない。

 理研に在籍しているお蔭で,他研究領域に触れることも多く,夫々の感激の違い方も多少解ってきた。放射光施設を駆使する物理学の領域では,理論物理,実験物理,巨大装置建設の工学などのinteg‐rationで新しい方向が生まれる。今日,生物学領域でもヒトゲノム解析などビッグプロジェクトが幕を明けた。情緒的な面を持つ生物学とは全く違った,いわゆるボトムアップアプローチが――即ち,生命現象を契機としない遺伝情報からのアプローチ――が生物学の可能性を拡げ始めた。得られた情報の各方面での有用性を思う時,生物学におけるこの発想の転換と柔軟性の獲得は,世界の研究仲間として残る鍵となろう。

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