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研究をなりわいとすることについて

2002.06.01
Vol.13 June

三木 裕明東京大学医科学研究所・癌遺伝形質分野

 「金持ち父さん貧乏父さん」なる本を読んだ。大部分に関して筆者はふむふむと納得して読むことができた。「殆どの人はお金を使うのではなく,お金に使われて人生を終える」とのくだりなど,なるほどもっともである。金持ちだけが資産を増殖させ続けることを全肯定するのはワンテンポ遅れた感のあるバブリーな考え方ではあるが,旧来の根拠のない価値観にしがみついて生きるだけの姿勢よりはましかもしれない。特に過大な負の遺産に苦しめられ続けている今日の日本の経済状況をかんがみるに,何が本当に価値あるものか冷静に見極め,自分自身の人生の責任を他人任せにしないという態度は教育的でもある。筆者も「父さん」の一人として見習うべき所もあった。

 さて, それではこの「金持ち思想」は研究をなりわいとしている我々にとって如何なる意味を持っているだろう?自らのビジネスを持ち資産運用で生活することを旨とする「金持ち思想」に従えば,国や会社から給与を頂戴してそれを生活の糧にしている研究者(筆者はここに相当)は社会底辺を這いずり回る者に相当する。どうやら最近流行りのベンチャー企業でも興して大成功を収めると共に,儲かったお金で資産運用するしか「金持ち」になる道はなさそうだ。つまり,研究者が研究を続けている限りは「金持ち」にはなりえない!とあっさり結論が出てしまったが,ここでよく考えたいのは「仕事」に対する捉え方である。「金持ち父さん」は現実的な作業が大嫌いな人物らしく,資産を右から左に動かすことには熱心だが,現場で労働する人々は侮蔑の対象となっている。翻って考えるに我々は一体どのような仕事観を持っているだろう。多くの者にとって仕事をするということは,直接・間接を問わずそこで生まれる様々な社会的関係に参加するということであり,それに付随する責任に少しの幸せと大きなストレスを見い出すことがウエットな日本人の典型であったように思う。それが良い面もあれば悪い面もあるのは確かだが,仕事に対して「お金」以外の側面をも見いだしてきたことは間違いない。そう考えると「金持ち思想」は仕事を「なりわいを得る」手段として,それ以外の部分をばっさり斬って捨てることのできる特殊な文化の背負った強迫神経症の副産物, いや,その正統なる嫡子のように思えてくる。精神の安定を保つのに多数のセラピストを必要とするとても「しんどい」文化である。

 「プロテスタンティズムの倫理と資本主義の精神」で「金持ち」を生み出す資本主義制度の成り立ちを解き明かしたマックス・ウェーバーは「職業としての学問(Wissenschaft als Beruf)の中で学問研究をなりわいとする者の心構えを説いている。曰く「自己の全身を打ち込んで熱中するという心構えのない人は学問には向いていない。情熱はいわゆる「霊感」を生み出す地盤であり,「霊感」は学者にとって決定的なものである」。古くさい訓話めいた話ではあるが,今日の我々にも十分通用する。ところで「職業」と翻訳されているドイツ語「Beruf」を辞書で引くと「天職」「使命」のニュアンスが強い。つまり研究者にとっての研究は「神」から与えられた使命,天命であり,それを果たすべく努めよということだ。残念ながら我々は「神」なるものを持っていないが,それを自らの心の内に見付けることのできた人は幸いである。とにもかくにも我々は使命に従ってせっせと実験しているのが良さそうだ。「金持ち父さん貧乏父さん」によれば,その「金持ち父さん」は著者の友人の父親であり,死後に莫大な財産を友人に残した。一方,著者の実の父親である「貧乏父さん」が死後に残したものは借金の請求書であった。子供に残すための資産の蓄財に励むより,社会の中でおのれの使命を果たすペくじたばたと奮闘している方がずっとエライ!と筆者は感じたが,読者はいかがであろうか。「でも,自分の父親には借金を残して欲しくないなあ…..」と思う筆者はまだまだ修行が足りないようである。

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