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真っ白なキャンバスを前に

2014.02.21
Vol.25 January & February

伊藤 俊樹神戸大学バイオシグナル研究センター

昨年の夏、某学会を(一応の)母体とした若手研究者組織が主催する「生命科学夏の学校」に招かれ、美しい太平洋を臨む伊豆半島の小さなホテルを訪れた。現在、大学院生鋭意募集中である私は、今の若者の進路選択におけるニーズを調査したいという意気込みと、ともすれば学生をリクルート出来るのではないかという淡い期待を胸に、周到なプレゼンを用意して現地に乗り込んだ。講演終了後の飲み会にもキッチリ参加して、学生たちとの合コン、シャッフル、また合コンのようなグループディスカッションの合間に私は彼らへの進路希望調査を試みたわけだが、いささか戸惑う結果となった。彼らはほぼ一様に「脳科学・神経科学がやりたい」「幹細胞・再生医学がやりたい」と言う。その日の私の講演は、自らの体験談をベースにした、かなり具体的な研究指南のような内容だったし、それ以前に私の研究内容は彼らの大雑把なカテゴリー分けにも当てはまっていない。完全に「ミスマッチ」であることは明らかだった。

帰路、失意の中で伊豆急電車に揺られながら、ふと彼らの言葉が今をさかのぼる20年前の自分自身に重なることを思い出した。当時の私も、友人たちと連れ立って根津駅近くの中華料理屋で定食を食べながら、大学院の進路や今後の研究テーマについて語り合った。「俺は脳研究をやりたい」「俺は免疫だ」「いやいや老化研究でしょ」。具体的なアイディアなど何もなかったが、当時の自分たちにとっては、これからの進路を示してくれる「キーワード」が必要だったのだと思う。それはおそらく、今後の研究人生においてどれだけ多くの謎や課題が自分たちのために残されているか、という切実な事柄に直結する。すでに面白い発見が為されつつある領域、誰かが「ここに大きな金脈があるぞ!」と声をあげている方向に、強く惹かれていたことを覚えている。

しかしその後、私が実際の研究の現場で触れてきたものは、ひとつひとつの具体的な研究課題であり、世界の研究潮流の中で揉まれ、競い合い、そして現実に爪痕を残している研究であった。そんな中、私は少しでも世界に通用する一人前の研究者になりたいと、ただ必死に努力してきたように思う。海外のミーティングで同席した研究者が、私の名札を見て「あなたの論文を覚えている」と言ってくれることを至福の喜びとするように、研究者としての自己を確立することを目指して、もがき続けた日々でもあった。

今の私が大切にしている、恩師(竹縄忠臣・東京大学名誉教授)の言葉が幾つかある。

「自分のスタイルで研究しよう。」
「研究とは、真っ白なキャンバスに自分自身の描き方で絵を描くことである。誰が見ても、この絵は誰が描いたかが分かる。」
「常識の延長は常識しかない。流行を追いかけるのは止めよう。秀才は常識の塊である。」
「原野を切り拓いて新しい概念を確立しよう。一見、二流の研究をしよう。」

昨夏、伊豆半島に集った若き優秀な頭脳たちも、駅前の中華料理屋で麻婆豆腐をかき込んでいた20年前の私も、自らの力で未踏の原野を切り拓く知識、経験そして何よりも、拠り所となる「自分のスタイル」を持ちあわせてはいなかった。今、真っ白なキャンバスを前に腕組みをしながら、私は私にしか描けない絵を描きたいと思っている。

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