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「つながり」を見つけて「ネットワーク」を知るには

2010.03.31
Vol.21 March

村田 昌之東京大学大学院総合文化研究科

 最近、群像劇と称される物語が好きなことに気がついた。群像劇の正確な定義は知らないが、様々な境遇の登場人物がそれぞれの思惑で行動しながらも人生の時間と空間を微妙に共有しながら話が進む、そして最後には想像もしなかったある一点で彼ら彼女らが奇妙な「つながり」を持つことになり、見ているものはその巡り合わせに「アッ」と驚く。物語を振り返ってみれば、そこには、一つ一つの「つながり」を単位にした大きな人間の「ネットワーク」が見えてきて、また驚くのである。最近では、ポール・ハギス監督の映画「クラッシュ」、ポール・トーマス・アンダーソン監督の映画「マグノリア」や伊坂幸太郎氏の「ラッシュライフ」からもそのような感覚を得た。生業としているライフサイエンスに関しても、全く無関係な事柄に思いもかけない「つながり」を見つけたり、それが作る「ネットワーク」を発見した時に、私は「なるほど」と唸り「やられた」とうれしくなるようだ。長い間、こんな趣向があるとはとんと気がつかなかったので妙に感激した。ランダムな人間関係を利用しても平均6人で目的の人に辿り着くというミルグラムのスモールワールドの実験に有るように、数学的論拠もないのに私は物事のつながりは案外狭い領域で閉じているのかもしれないと信じている。いわんや、一つの細胞内に存在するタンパク質群や遺伝子群が作るネットワークにおいてをやである。ネットワークを推定して、どこかのpathwayを少し撹乱させるとネットワーク全体が大きくひずんで疾患につながる、などと考えるとネットワークの解析が少しは世の中のためになると妙に納得したりもした。そんなわけで、情報処理やコンピュータサイエンスの知識もないままに細胞内のいろいろなネットワーク解析研究に飛び込んでしまった。

 しかし、当然だけれどもサイエンスと物語には大きな違いがある。物語は、作者が終盤に劇的な出会いをセッティングできるので、時間を遡って登場人物やエピソード間の「つながり」や「ネットワーク」を「見せる」作業自身が物語となる。一方、サイエンスは、あてもなくそれらの「つながり」を「見つける」作業である。バイオインフォマティックスという見えないつながりを可視化する手法が登場してきて、この作業や「ネットワーク」推定はかなり楽になってきたけれども、推定した「ネットワーク」の検定作業がないままでは本当のサイエンスとならないかもしれない。ネットワーク発見のために先人の歩いた道なりに進みながら、いろいろな脇道を探索して新しい道にひょいと出る事を期待する方法もあると思うが、サイエンティストとしては行き当たりばったりというのもちょっと間が悪いし、そもそも思いがけない「ネットワーク」は脇道の藪をつついただけでは簡単に見つかりそうもない。逆に、人が通らない道を、今の学生は行きたがらないし、研究室運営を考えると私だって少し怖い。

 そこで、同じ平面ばかりをうろうろするのでなくて少し高みに登って平地を俯瞰すれば、各事象(点)を結ぶネットワークの全体が見えてくるのではないかという考えも出てくる。プロテオミクス技術や高速シークエンス技術が発達して、ネットワークの発見はその様な網羅的解析系とカップルして議論されることが多くなった。しかし、タンパク質名や遺伝子名の間にぎっしりと張り巡らされた直線や曲線をもとにした関係図から、私たちはどんな情報を得ることができ、どの様に役立てることができるのか?最近、同種の問題を扱うハーバードとNIHの知人が、時を異にして私に同じ感想を述べたことは印象的である。「結局はネットワークを読み取る形態学が必要かもしれない」である。細胞生物学は、細胞やオルガネラの形態観察をもとにはじまった学問である。巡りめぐって、細胞の機能や構造形成のメカニズムを知るための「新しい形態学」の出番が来るのかもしれない。そして、これこそ私が期待した「アッ」と驚く巡り合わせなのかもしれない。

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