中野 明彦東京大学大学院理学系研究科生物科学専攻
ニポウ板(Nipkow disk)式共焦点顕微鏡ともいう。小さな円盤に多数のピンホールを空け,高速で回転することによって試料を高速で走査する。横河電機が,ピンホールにレーザー光を効率よく導くためにマイクロレンズアレイを組み合わせて実用化した(図)。1000-2000フレーム/秒の高速性を誇る。同時に1000個程度の光点で試料を走査するため,ダメージが少ない,褪色しにくいなどの利点があり,また光学系は動かさないので実像を結び,高感度カメラで直接撮像できる。HARPカメラやEM-CCDカメラ,さらにイメージインテンシファイアなどとの組み合わせで,生細胞でも実際に1秒間に数百フレームの画像獲得が可能である。多色ダイクロイックミラー等を用いて複数種の蛍光プローブを完全同時観察でき,また高速性を生かしてオーバーサンプリングを行い,デコンボリューション処理することによって3Dで50-60 nmという超解像も実現されている。高性能なシステムは,SCLIM (Super-resolution Confocal Live Imaging Microscope)と呼ばれている。他の超解像顕微鏡に比べて,時間軸でも高い分解能を有することが特徴で,微細構造の高速な運動を追うライブセルイメージングの目的に適している。
参考文献
1. Nakano, A. (2002). Spinning-disk confocal microscopy — a cutting-edge tool for imaging of membrane traffic. Cell Struct. Funct. 27:349-355.
2. Nakano, A. and Luini, A. (2010). Passage through the Golgi. Curr. Opin. Cell Biol. 22:471-478.
3. Matsuura-Tokita, K., Takeuchi, M., Ichihara, A., Mikuriya, K., and Nakano, A. (2006). Live imaging of yeast Golgi cisternal maturation. Nature 441:1007-1010.
4. Okamoto, M., Kurokawa, K., Matsuura-Tokita, K., Saito, C., Hirata, R., and Nakano, A. High-curvature domains of the endoplasmic reticulum (ER) are important for the organization of ER exit sites in Saccharomyces cerevisiae. J. Cell Sci. in press.