アクチン・ミオシン
渡邊 直樹東北大学 大学院生命科学研究科
12-15 kDのアクチンモノマー結合タンパク質。細胞質に豊富にある。単量体アクチンのADP-ATP交換反応を加速するとともに、ATP結合単量体アクチンに強く結合する(解離定数 〜0.1 μM)。プロフィリンに結合したアクチンは、速い重合端であるアクチン線維の反矢じり端(barbed end)に単量体アクチンと同様の速さで付加されるため、プロフィリンはアクチン伸長を助けるが、アクチン重合核の形成に対しては阻害的に働く。また、平衡状態のアクチン線維では脱重合端となる矢じり端(pointed end)への重合は阻害する。プロフィリン-アクチン複合体は、細胞質に10〜40 μM存在し、迅速な線維伸長を可能とする。また、アクチン伸長端に結合するフォルミンファミリータンパク質やEna/VASPタンパク質のポリプロリン配列に結合することで、協調して線維伸長を数倍加速する。インビトロでは、ADPアクチンの線維の反矢じり端からの脱重合を促進することも知られている。ホスファチジルイノシトール(4, 5)二リン酸などのホスホリピッドに結合するとアクチンとの相互作用が弱まる。
参考文献
Yarmola, E. G., Bubb, M. R. (2009) Bioessays 31: 1150-1160.
Pollard, T. D., Cooper, J. A. (2009) Science 326:1208-1212.