アクチン・ミオシン
渡邊 直樹東北大学 大学院生命科学研究科
その体液が魚類に強い毒性を示す海綿(Latrunculia magnifica)から単離された化合物で、latrunculin AとBがある。単量体アクチンのATP結合部位近傍に結合(解離定数、0.2~0.4 μM)し、重合を阻害する。さまざまな細胞機能についてアクチン依存性の有無を検証するために用いられ、広く普及する化合物である。ただし、細胞に低濃度で使用すると、薬剤のもつ本来の作用に反して遊離単量体アクチン濃度を上昇させる‘latrunculin paradox’と呼ばれる効果が予測、報告されている。
参考文献
Spector, I., Shochet, N. R., Kashman, Y., Groweiss, A. (1983) Science 219: 493-495.
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