渡邊 直樹東北大学 大学院生命科学研究科
Jasplakinolideは、海綿(Jaspis johnstoni)から単離された環状ペプチドである。アクチン線維の脱重合を阻害する。ファロイジンのアクチン線維への結合と競合する。ファロイジンなどの他のアクチン脱重合阻害薬とは異なり、細胞透過性があるため、生細胞内でのアクチン脱重合阻害薬として広く使用される。特に、ある細胞機能がアクチン重合-脱重合のダイナミクスに依存するか否かを検証するために頻用される。インビトロでは、ファロイジンとは違いアクチンの重合核形成を著明に促進し、伸長速度も2倍程度まで加速する。細胞に用いた場合、1〜3分でアクチン脱重合の阻害と単量体アクチンプールの減少が観察される。また、アクチン脱重合因子コフィリンやそのコファクターであるAIP1のアクチン線維への結合を阻害する。
参考文献
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