微小管
豊島 文子京都大学ウイルス研究所 細胞生物学研究部門 構造形成学研究分野
細胞が分裂する方向のことであり、細胞分裂面と垂直に交わる軸方向を指す。細胞分裂軸は分裂期紡錘体の両極を結ぶ線と平行であるため、紡錘体軸の方向によって分裂軸が決定される。紡錘体軸は多くの場合、分裂中期に決定されるが、幾つかの組織・細胞では分裂後期に軸方向が変化するとの報告もある。 紡錘体軸の方向は「細胞の形」「細胞極性」「細胞―細胞間接着」「細胞ー細胞外基質接着」などの細胞内外の要因によって決定される。細胞は、周囲の環境や細胞の分化過程によって、これらの要因を使い分けている。そのため、紡錘体軸を決める分子機構は細胞や組織の種類によって異なる。進化的に保存されている紡錘体軸制御因子としてGα-LGN-NuMA複合体が広く知られている。しかし、全ての場合においてこの複合体が主要因子として機能するわけではないので、注意が必要である。
参考文献
生化学 84, 81-91, 2012